双子の出産、なぜ帝王切開になるケースが多い?

双子(多胎)妊娠の場合、産院の方針や胎位(赤ちゃんの向き)によって帝王切開が選択されるケースが多くなります。日本では双子妊娠の出産方法は施設によって異なりますが、「第一子(先に産まれる方)が頭位であれば経腟分娩を試みる」施設もあれば、「多胎は原則として帝王切開」という施設もあります。

私が通っていた産院は「双子は原則帝王切開」という方針でした。34週で管理入院、37週で帝王切開の予定が組まれていたので、「いつ帝王切開になるか」という不安よりも「37週まで持つか」という不安の方が大きかったです。結果として予定通り37週0日で手術になりました。

帝王切開の前日:準備と緊張

手術前日は腸内をきれいにするための処置(ラキソベロン内服)があります。前日の夜から絶食・絶飲が始まりました(私の病院では21時以降)。当日の朝は導尿カテーテルを挿入して、手術着に着替えて手術室へ向かいます。

前日の夜は「明日、2人に会える」という実感と「手術という現実」が重なって、不思議な気持ちでした。緊張していなかったと言えばうそになりますが、それよりも「不妊治療5年、やっとここまで来た」という気持ちの方が強くて、前日の夜は比較的落ち着いて眠れました。

手術当日:麻酔から手術室へ

手術室は思っていたよりも明るく、医師・麻酔科医・助産師など6〜7人のスタッフがいて少し圧倒されました。「よろしくお願いします」と声をかけてもらいながら手術台に横向きに座り、背中に硬膜外麻酔(脊椎くも膜下麻酔との合わせ技)を入れてもらいます。

麻酔の針を入れる瞬間は「チクっとするよ」と言われた通りの感覚で、特にひどい痛みはありませんでした。麻酔が効き始めると下半身がじわじわと温かくなり、やがて感覚がなくなっていきます。「足を持ち上げますよ」と言われて持ち上げてもらっているのに「持ち上げられている感覚がない」のが不思議でした。

腹部に青い布のカーテンが張られ、顔のすぐ前で視界を遮られます。その上の方に向けて「大丈夫ですか?」と声をかけてもらいながら手術が進みます。圧迫される感覚はあるのですが、痛みはありません。「押される感じがするよ」と事前に説明を受けていたので、焦りませんでした。

[写真:手術室のイメージ。青い無影灯の下、手術台が中心にある]

2人の産声:忘れられない瞬間

麻酔から約10〜15分後、「第一子、生まれましたよ!」という声とともに産声が聞こえました。続いて1〜2分後に「第二子も!」という声。2人の産声が続いて聞こえたときは、言葉では表せない感覚でした。涙が出たというより、「ああ、本当にいたんだ」という、不思議な現実感でした。

2人とも泣き声は力強く、37週でも十分に育っていました。生まれた直後は処置のためそれぞれ新生児担当のチームに連れて行かれますが、「元気ですよ」という声を聞いて緊張がほぐれました。

胎盤の処置や縫合には別途時間がかかり、全体の手術時間は1時間20分ほどでした。

術後の痛み:正直に書きます

帝王切開の術後の痛みについて、正直に書きます。麻酔が切れる術後6〜8時間ごろから、切開部位の痛みが出てきます。病院では定期的に鎮痛剤を使いましたが、「鎮痛剤が切れてきた頃の痛み」は想定より強かったです。特につらかったのが、

  • 寝返りをうつ時(傷が引っ張られる感覚)
  • 起き上がる時(腹筋が使えない状態なので全部腕力で)
  • 咳やくしゃみをした時(傷に響く)

「痛み止めを我慢しない」のが回復を早める一つのコツだと担当医に言われました。痛みで動けなくなると回復が遅くなるので、積極的に鎮痛剤を使うこと、そして早めに体を動かすことが大切だそうです。

私の場合、術後1日目には補助を借りながら立ち上がり、2日目には自分で歩行できるようになりました。「帝王切開は大手術だから長期入院になる」というイメージを持っていたのですが、実際には術後5〜7日で退院になることが多く、意外と早く普通の動きができるようになります。

術後の傷ケア:退院後も続く

退院後の傷ケアも書いておきます。切開跡(ビキニラインのやや上あたり)は最初のうちは赤く腫れており、3週間〜1ヶ月ほどは傷口が引きつれる感覚がありました。

傷ケアとして産院から指導されたのは「保湿クリームで傷口を保湿する(傷が閉じてから)」「テープ保護(ニチバンのアトファインなど)を3〜6ヶ月続ける」「傷口を強くこすらない」の3点でした。シリコンテープは傷の盛り上がりを抑える効果があるとされており、私も退院後から4ヶ月ほど貼り続けました。

帝王切開の傷は1年ほどかけて徐々に薄くなっていきます。術後1年時点では「傷があると言えばわかる」程度まで目立たなくなりました。

[写真:シリコンテープのパッケージ(アトファイン)。傷ケアに使っているアイテムが並ぶ]

帝王切開でよかったこと、大変だったこと

帝王切開を経験してみて、正直な感想を書きます。

よかった点:37週まで持ちこたえて、予定通りの手術で2人を安全に産めたこと。緊急帝王切開でなく予定手術だったので、事前準備ができた(心の準備・夫の立会い手配・産院への申し送りなど)。

大変だったこと:術後の身体的な辛さ(特に初動の歩行困難)。新生児2人のお世話が始まる最初の数日が、自分の体の回復と重なること。帝王切開後は「子宮収縮の促進」のための点滴・内服があり、これが強い痛みを伴うことがある(後陣痛が強い場合)。

不妊治療から5年、妊娠してからの管理入院3週間、そして帝王切開。「やっと会えた」という気持ちはどんな痛みも和らげてくれました。2人の産声を聞いた瞬間のことは、10年後も20年後も覚えていると思います。

管理入院の体験については双子妊娠の管理入院体験談(34週から37週)もあわせて読んでみてください。不妊治療から双子妊娠に至るまでの経緯は体外受精で双子になる確率と私の体験で書いています。